カウンセリングの中で、相談者の方から、時々こんな声を聞きます。
「ただ話を聞いてもらうだけでは意味がないと思います・・・。それより具体的なアドバイスが欲しいんです。」
では、「話すだけのカウンセリング」では、本当に効果はないのでしょうか?
・・・そんなことはありません。
現代のカウンセリングの基礎を作ったカール・ロジャーズは、「じっくり話を聞き共感することで、相談者は自然と変わっていく」と主張し続けていました。
特に、以下のようなケースでは、大きな効果があります。
「話を聞くカウンセリング」が効果をあげるケース
①今まで、その問題について誰にも話してこなかった
こういう方は、「誰にも話せなかった」という方が正しいかも知れません。「こんな事を話したら、きっと軽蔑されるだろう」と自分を恥じて、誰にも言えないのです。
しかし「誰にも話せない事」があり、自分だけの胸にしまっているということは、自分を恥じ続けるということになり、心理的に大きく足を引っ張ります。
それをカウンセラーに話し、否定せずに話を聞いてもらうことで、「自分はそれほど恥ずべき存在ではなかったんだ」と思え、自分を受け入れられるのです。
また、話しながら「悲しみ」「怒り」「落ち込み」といった様々な感情を出すことで、大きなプラスの効果があります。これを、カウンセリングで「カタルシス効果」と呼んでいます。
②自分自身で考えを整理したり、気づいたりする事がある程度できる
普段から関連の本を読んでいたり、自分なりに色々な方法を考えて試行錯誤できる方は、カウンセリングを「情報を整理する場」として使うことで気付きがあり、前進することができます。
こういった方の特徴としては、以前から「心理学が好き」だったり、「心のテーマについてあれこれ考えることが好き」ということがあげられます。
→傾聴型カウンセリングの効果(参考サイト)
その一方で、「話すだけ」ではなく、もっと積極的なアプローチが必要な場合もあります。
「話すだけ」のカウンセリングでは効果が上がらないケース
①発達障害(アスペルガー症候群)の方
アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)の方は、自分で気付く力が弱いため、カウンセラーに話を聞いてもらうだけでは、なかなか気付きが起こりづらいのです。そのため、カウンセラーが積極的に新しい考え方や行動を提案していく必要があります。
また、例えばアスペルガー症候群の方はコミュニケーションスキルが低かったりなど、特定のことが極端に苦手な可能性があるので、カウンセリングの中で具体的にスキルを学んでいくことが大切です。
②うつ病や不安障害が非常に強い
こういった相談者の方は、思考があまりにネガティブになっているため、自分で考え方のゆがみに気付いて立て直すことが難しくなっています。その場合には、認知行動療法など積極的に考え方を修正するアプローチが必要になります。
⓷自己評価が極端に低い
主にアダルトチルドレンの方に多いのですが、自尊感情が極端に低い方は、やはりマイナス思考が非常に強く、そこから抜け出すのにかなりの大きな変化を要します。
「聞いてもらうだけ」のカウンセリングでも、受け止めてもらう体験を通して、少しずつ自分を立て直していく事は可能ですが、年単位のお時間がかかってしまいます。そのため、認知行動療法を使って考え方を修正していくようなアプローチを含めるようにして、積極的に働きかけていく必要があります。
以上のように、「聞いてもらうだけ」のカウンセリングでも効果があるケースも多くありますが、相談者のタイプや相談内容によってはそれだけでは十分ではなく、認知行動療法や、対人関係スキルを身につけて行くといった要素も必要になります。
スカイ&リーフでは、相談者の方にどういったアプローチが合っているのかを、色々な情報を参考にして決めていきます。