ここまでのお話で、感情をコントロールするポイントは、
●感情をなるべく言葉で言い表すようにする事
●感情を言い表す言葉を出来る限りたくさん知っておく事
である事をお伝えしました。
そして今回が最後のポイントとなりますが、それはこのような事です。
ポジティブな言葉を使うようにすること
これはなぜかというと、最初の記事で説明したように、私たちは目の前で起きている事を言葉というツールを使って解釈しようとするからです。
という事は、なるべくポジティブな言葉を使うようにすれば、自然とポジティブな解釈になるし、その結果、気分もポジティブになりやすいという事です。
例えば、いつも上司の顔色を伺って、気に入られてポイントを稼ごうとしている同僚のことが目に付くとします。
それを見て、心の中で「ムカつく」「無理だわ」と言うかわりに、
「すごい野心だな」とか、
「(ちょっと皮肉をこめて)今日も〇〇さん絶好調だなー!」とか、
「ずいぶん頑張ってるなー。」
と言うようにすると、気分がポジティブまでにはならなくても、最初のように「ムカつく」と思っている時よりは、ストレスがマシになるはずです。
または、風邪を引いたのか朝から体がだるくて頭もボーっとして、何もやる気がおこらない日があるとします。
その時に、心の中で「自分ってダメだなぁ」「ウツだわー」と言うのではなく、
「最近けっこう活動してたから、今日はお疲れモードかな」
「こんな日もあるよな」
「体が、休みなよって言ってるんだろうな」
と言うようにすると、かなり気分がおだやかになると思います。
このように、日常で起きている出来事を、なるべくポジティブな言葉やフレーズを使って言い表すように意識すると、ネガティブな感情やストレスをある程度減らす事ができます。
カウンセリングで「リフレーミング」という手法がありますが、それに近いものがあるかも知れません。
ポジティブな言葉のボキャブラリーを増やす
こういったポジティブな言い換えが出来るようになるためには、まずは「ポジティブな言葉やフレーズを沢山知っておいて、いつでも使える状態にしておくこと」が最初のステップです。
そのためには、このような方法がおススメです。
-なるべくポジティブな人と過ごすようにする(&ネガティブな人との接触を減らす)
-YouTubeなどの動画を見る時は、他者や社会の悪い部分を取り上げた物より、前向きな明るい内容のものを選ぶようにする
-SNS(twitterやFacebookなど)は、批判的な事や暗い事件などについて書く人はフォローしないようにし、建設的な話題をアップする人をフォローするようにする
-前向きな人が集まり、前向きな話題が出そうな場所に行くようにする(例:仕事のグチばかり言う飲み会よりも、勉強会や趣味の集まりに行くようにする)
このような方法で、まずは感情を言い表すポジティブな言葉をなるべく多く脳にインプットしておけば、それがとっさの場面で言葉になって出て来やすくなり、感情もポジティブに傾きやすくなります。
本当は思ってなくてもポジティブに言ってみるようにすると良い
ただ、中には「ポジティブな言葉は知っていても、本音ではそんなにポジティブにとらえられないから、実際にはなかなか使えない」と思う方もいるかも知れません。
このように、そう思ってなくても「取りあえず言ってみる」ようにし、何度か使っているうちに段々そう思うのが当たり前のような気がしてきて、少しずつポジティブに捉えられるようになっていくはずです。
「感情をコントロールする」シリーズ全4話のポイントをまとめると、
●(特にネガティブな気分の時には)なるべく感情を言葉で表現すると少し気分が楽になる。
●そのためには、感情を言い表す言葉やフレーズをできるだけ沢山知っておくと、より気分をコントロールしやすい
●さらに、ネガティブな言葉よりもポジティブな言葉やフレーズのボキャブラリーを増やしておくと、もっと気分が上がりやすい
いかがでしょうか?
ぜひ今日から取り入れられる事(YouTubeの動画の候補が出てきたら、なるべく前向きなものを選ぶなど?)から実践してみてくださいね!
出典:How Emotions Are Made:The Secret Life of the Brain written by Lisa Feldman Barrett