私たちは日々の生活の中で、自分が直面している状況に対して「悩む」ことがあります。人は、そうした悩み事に対して解決を試みたり、気晴らしに別のことをして気分転換を図ったり、様々工夫しようとします。ものごとによっては、比較的スッキリと切り替えができるものもあれば、一方で、同じような悩み事を繰り返してしまうこともあります。さて、その違いは何でしょうか?
心理学では、その一つの解釈として、『不合理な信念』という考え方があります。
端的にいうと、「その状況が人を困らせている」のではなく、「状況に対する思い込みが人を困らせている」という考え方です。この「状況に対する思い込み」のことを不合理な信念とよびます。例をいくつか挙げてみましょう。
①過度な一般化
・・・一つのことから、全体のことのように考えてしまうこと。
「私、Aさんのこと苦手だなぁ…ここにいるAさんの友達みんな、私とウマが合わないに決まってる。」
②自身への関連付け
・・・周りで起こったことに対して、自分が原因だと思い込んでしまうこと。
「先生怒ってる…あれ私のこと言ってるのかな…」
③根拠のない推論
・・・根拠や事情が分からないのに、自分の予想に振り回されること。
「あれ?インスタで友達が遊びに行ってる写真をあげてる。私だけ声をかけられてない。もしかして私、嫌われてる…?」
④全てか無か
・・・ものごとを極端に決めつけてしまうこと。
「 Aグループは良い人たちだけど、 BグループはAとは反対派だから絶対悪い人たちだ。」
⑤すべき思考
・・・意固地になって、気が休まらなかったり、自分で自分の首をしめてしまうこと。
「周りに迷惑をかけないように、常に気を配るべきだ。」
⑥感情による決めつけ
・・・自分が感じたことにとらわれて、周りが見えなくなること。
「私、この人と一緒にいると胸が苦しい、つらい…全部この人が薄情な人だからだ!」
⑦過大・過少評価
・・・過度に卑下したり、誇張したり、一部の情報を見すぎて右往左往すること。
「あの人はいいよなぁ、頭も良いし、スポーツ万能だし、それに比べて自分はさ何もアピールできるものがない…」
こうした思い込み(不合理な信念)は、人の感情を後ろ向きにしたり、行動意欲をなくしてしまうことがあります。でも、冷静になってみると、考え方を変えるだけで物事の見え方が変わったり、自分がこれからした方が良いことがわかることもあります。


